2002年11月12日
今回は林道してません。
連休なのでツーリングに出かけるのだ。空に星が瞬いている時刻に起き出すと荷物をバイクに括り付け暗闇の中を走り出した。何時もはソロだが今回は珍しく相棒がいる。大竹に着いたのが午前5時、玄関先では画伯がバイクに荷物を載せている所だった。今回の旅の御相手は、あの画伯だったりする。行き先は阿蘇高千穂方面で九州に渡ってからはパオさんと合流する事になっているのだ。大竹から徳山港を目指して夜走る。11月とはいえこんなに寒いとは思わなかった。夜の国道2号はそれなりにペースが速く、寒くて出したくも無いが車の流れでスピードを上げる。途中コンビニに寄り朝飯を買い込んで徳山港についたのが6時半だった。フェリーは既に入港しており切符を買ってバイクの所に戻ると、帰ってくるの待っていた誘導員が手招きしている。慌てる事も無いし俺様は客なんだから悠々としてれば良いのだろうが小市民なので大急ぎで船中へと入って行き座敷部屋に落ち着いた。船が湾から出ると結構揺れ始めた。明方がやたら寒かったし、どうやら今日から冬型の気圧配置となっているようだ。天気予報は見たが「とりあえず晴れるのだな」程度しか気にして無かった。だが九州は南国のはずだ!九州に渡ったら暖かいに違いない。それにしてもやたら揺れるな〜と思っていると、画泊が右腹を下にしたり左腹を下にしたりとゴロゴロ転がって忙しない。どうしたのか聞いてみると「酔った」。酔った?酒も飲んどらんのに?ではなくて船に酔ったらしい。「あ〜可愛そうに。ところで二日酔いと比べてどっちがキツイ?(せ)」「知らん聞くな(画)」と画伯がゴロゴロ転がってるうちにも船は九州へと進むのだった。
行くはずだった高千穂YHからの景色
竹田津港に着くと寒かったので今ある衣類と合羽を取りだし着こんでみる。多少動きにくいが、何とかなるだろう。宇佐に出て山越え由布院へ抜けるルートを考えていたが、なるべく平野部を通る事を考える。別府に出てから、やまなみハイウェイを目指すという割と在り来たりなルートを選ぶ。別府から鶴見岳を越えると寒風が強くなり雲行きもおかしくなってきたが大丈夫、九州は南国のはずだ。水分峠からやまなみハイウェイに入り途中の山下湖のレストハウスで昼飯にした。「暖かくなるものが食いたい」2人してだご汁定食を頼んだ。これから先のルート確認をしながら飯を食う。画泊が仰るには「白水鉱泉に行ってみたい」。何でもココの湧水は天然の炭酸水で飲水すると色々と効能があるらしいのだ。やまなみ周辺は割と走りに来ているが白水鉱泉には行った事がなく、どういう訳か妙に行きたくなったので賛同。旭のレストハウスの交差点を左折して10キロほど山中を走ると白水鉱泉にたどり着く。大規模な水取り場があり、ポリタンク持った人やらその場で飲水してる人やらで割と賑わっている。しばらく2人してブラブラしていたが、炭酸水の効能が書いてある説明看板を読んでいた画伯が動いた!売店で水を入れるペットボトルを購入すると言い出した。旅の途中という事もあり18リットル入るポリタンクにする事が出来ないのを残念がっておらしゃったが、水取り場に戻ると目の色を変えて炭酸水を入れ始めたのだ。彼女が、どういう効能を期待しているかはココでは書かない事にしておく。再びやまなみハイウェイに戻るとポツポツと小雨が降り出してきた。今から牧ノ戸峠に上っていくので、まず天候は悪いだろうと思われ早めに合羽を着こむ、着こむといっても既に防寒でズボンの方は着ているので上着の方だけだ。それが牧ノ戸峠の麓までたどり着くと小雨が雪になってしまい、登っていくうちに辺りは真っ白の銀世界へと変わっていった。幸いやまなみハイウェイの交通量は結構あり今の所、路面上の積雪は無い状態だが、この状態で先に進むのは何時もの倍は掛かると思われ高千穂YHまで行くのを断念する。今の時間なら夕食の準備はして無いと思う、この時間でのキャンセルならあまり迷惑をかけずに済むはずだ。高千穂YHに携帯で状況を連絡しキャンセルの旨伝えると「大変ですね、気になさらないでください。気をつけて」と言っていただいた。という訳で今日のお宿を他に押さえる必要が出てきた、まあここからなら牧ノ戸峠を降りた所にある瀬の本YHだろうと思い、予約の電話をいれ2人分の寝床を確保した。そして高千穂で合流予定のパオさんに連絡すると「今、高千穂YHについた」との事。こちらの状況を説明して、明日、黒川温泉あたりで合流することに変更して貰った。と慌しく電話しまくったのだ。その間、画伯はスッカリ雪だるま状態となっていた。「お待たせ、全部済ませた(せ)」「寒い!ここ本当に九州よね。(画)」今の所、道路に雪は無いのだが夕刻になると凍結と積雪が考えられるので彼女の尻を引っ叩き、遅くなる前に牧ノ戸峠を越える。
昔、瀬の本YHで撮った写真。
峠を越えると何処にも寄る事を考えずとにかく瀬の本YHに直行した。2日分の宿代を払うと2人してYHのコタツで丸くなっていたが、暇なのでツーGOの仙人風呂イベント(仙人風呂に何人入れるか)に参加しているfullさんとキュウさんに電話してみたりして過ごす。夕食を食べ終わると瀬の本YHの名物でもある黒川温泉ツアーに参加する。黒川温泉の共同駐車場にバスが到着すると参加者各々はお目当ての温泉を目指して行く。瀬の本YH連泊で今日明日と温泉三昧を計画しているので入温手形を購入しておいた。此れは黒川温泉内二十四ある温泉のうち選んで三カ所入れるというものでお値段は千二百円、普通に温泉に入れば一箇所五百円なので計三百円お徳という計算である。但し期間は六ヶ月以内なので注意が必要で、今回みたく纏めて温泉に入ろうとする時は有効なのだ。2日間あるので5〜6箇所くらいは入湯してやろうと思いながら、いご坂を降りて行くと旅館が軒を連ねる温泉通りにでた。通りの案内看板を見ると洞窟という文字が目に入り、まずはここからという事で新明館の洞窟風呂に行く事にする。露天風呂もあるが、これとは別に入口があり洞窟へと入っていける。奥に進むと洞窟を利用した?ような風呂場がある。洞窟内は少し入り組んでいてダンジョン気分だ。疲れが取れるように全身を湯船に入れた。風呂から上がり新明館のロビーに戻ると画伯が待っていた。YHのお迎えバスの来る集合時間にはまだ時間があり次の湯にも行けそうだったので、いこい旅館の美人湯へと足を向けた。ここは瀬の本YHが坂田さん時代だった頃、よく連れてきて貰っていた湯で今日の長旅を締めくくるには相応しい良い風呂なのだ。特に女性に人気が高い美人湯がある事でも有名で湯あがり後に肌がしっとりすると評判だそうだ。画伯の話だと女湯の方には竹につかまって立ったまま入浴する立湯というのがあり、浴槽は結構深くなっていて「一人で入るのはチョット危険かも!」との事だ。男湯の方は庭園風の広々とした露天風呂手足を伸ばして入浴出来る。今日はこれで温泉は終わりなので体を洗っておく事にした。疲れが取れたかどうかは今は判らないが、今晩は良く眠れそうな予感がする。風呂から出て旅館のロビーで土産物を見ていると、しばらくして彼女が風呂から出てきた。もう少し時間があるので2人して土産屋をひやかして時間を過ごしたがボチボチ時間となったので、黒川温泉ツアーの集合場所へと戻る事にした。
2002年11月13日
画伯のCBR400RR
「朝食が出来ました」とペアレントさんに起こされた。非常に良く寝れた、起こされなかったら何時まで寝ていたのやら。朝飯食って歯を磨いて髭を剃る。天気は晴れ間もあるようだが、相変わらず寒い。朝から温泉かYHで過ごすプランも画伯と相談したが、これではバイクで来た意味が無さそうなので却下となり、とりあえず大観望経由で阿蘇火口に行くことになった。昨日の続きで、やまなみハイウェイの残りを走る。たまにミラーで後ろを伺い、彼女が無事に走っているか確認すると再び加速を開始する。やまなみを10キロほど走り右折してミルクロードに入ると、大観望へと続くアップダウンのある道となる。寒さがリミッターとなってしまい瞬間最高速度でも70キロくらいしか出せず、体を固めたまま走って行くのだった。駐車場にバイクを停めて坂道を登って大観望の展望台に到着、あいにく阿蘇山頂付近は雲が掛かっていて見えなかった。ここからは見えなかったが近くまで行くべしとバイクのある駐車場に戻るところで、雨がパラパラと落ちてきた。今日も降るのか?と不安が過る。しばらくレストハウスに入り込み雨の様子を伺っていたが、そんなに降らない様な気がするので先に進んでみる。しかし、カルデラへ降りて阿蘇登山道に向う途中で本格的に降り出してしまい、やむなくホームセンターで雨宿りをして再び様子をみる事にした。
晴れていれば、こんな阿蘇山が見れたはず。
相変わらず雨は降り続き回復の兆しは無さそうで、今日一日はこんな天気だと思われる。やはり、黒川温泉に戻るかどうか迷ったが合羽を着て阿蘇火口を目指してみる事にした。しかし、阿蘇登山道を登っていくと更に雨足が強くなり、おまけに寒い。という訳で昼からは温泉!とりあえず瀬の本YHに戻って身支度を整える事にした。画伯が仰った「やはり、へなちょこ道からは逃れられぬか」。YHにたどり着くとすっかり濡れ鼠となっており、部屋のストーブで濡れ物を乾かして小一時間ばかり体を暖めることにした。このままYHに居ても良かったが、やはり風呂に入りたくて、また合羽を着こんで出かける。黒川温泉に向って走っていると「ありゃ」反対車線からパオさんが現れた。すれ違いざまにバイクを停めると道路をはさんで温泉に行く途中である事を告げる。するとパオさんがバイクを転回して合流、黒川温泉を目指す事になった。黒川温泉に着くと、無料駐車場は満車状態であり車で来ていたら何時になるやらという状態であったが、そこはバイクの利点を生かし角地やら隙間スペースやらに駐車してしまう。合羽を脱ぐとタオル一枚ぶら下げて風呂屋へ向う。いや違った、パオさんと俺がタオル一枚なのである。画伯かく語りき「何でタオル一枚で風呂屋に行けるん?信じられん・・・だから男って奴はよ〜」彼女の荷物はお風呂セット一式、推定だが中身は手拭い・バスタオル・ボデーシャンプー・シャンプー・リンス・化粧水といったところだろう。ツーリング中なんだから、荷物減らしたら」と聞いたら「乙女として、それは出来ん!」(最近の日本語は難しくなったようだ)。3人でブラブラと温泉街を歩いている「誰かアテがあるんだろう。」とお互いそう思っていたらしく、ついに街の外れまで来てしまった。ココから先に行っても風呂は無さそうなので、ここで始めて観光マップを開いてみると近くに良さそうなのがある。旅館わかばには女性専用の露天風呂・化粧の湯があると書いてある。旅館のロビーで入湯手形にハンコを押してもらうと風呂のある奥へと歩き、男女別の暖簾をくぐるのだった。画伯が女湯に入って行くので「おーい!違う違う!そっち女湯だよ〜」と言ったら殴られた。そこでは、人が多くて子供が走り回ったり泳いだりとあまり風呂入って落ち着けなかったという記憶しかない。まあ連休なのでこんなもんか。
黒川温泉の入湯手形。
風呂からあがり、少し遅くなったが昼飯を食うため飯屋を探す事にしたが、これも人が多くて入れる店が無い。さんざん歩きまくった挙げくに街外れの居酒屋に落ち着くこととなった。店内には人っ子1人おらず、その店のおばちゃんは、「丁度店を開けたばかり。」だと言っていたが・・・折角居酒屋に入ったのだから酒!風呂上りの生ビールで乾杯する。真昼間から酒なんぞ飲んで三人ともダメ人間だと思った。やっと腰を落ち着けて今回のツーリングの話が出来る。今日、パオさんは満願寺温泉に寄ってきたのだそうだが、やはり雨に降られ寒くて大変だったという。居酒屋から出るとパオさんは早く瀬の本YHに行ってチェックインの手続きをしておきたいと言ったが、画伯と俺はもう1箇所くらい温泉に行っておきたいのでココでパオさんと一旦別れる事にした。温泉街をブラブラして次の風呂を探すが何処に行っても「人が少なくなるまで待ってもらえますか」と言われる始末でなかなか入れず、居酒屋を出たのが夕刻であったが、だんだんと薄暗くなり遂には何と雪が降り始める。こりゃまずいと再び瀬の本YHに退散する事にしたが到着する前に吹雪となってしまい、YHに着いたときには2人とも雪だるまであった。昨日と同じでYHのコタツで暖をとっているとパオさんが大貧民をやろうと言い出しトランプを配り出した。が大貧民を5回して何故か結果は全て同じ!大富豪が画伯で平民が俺!パオさんが5回やって5回とも大貧民だったのは洒落になってないようで気の毒だった。
2002年11月14日
天候が良ければこんな景色がみれます。
竹田津港十五時発の徳山行きのフェリーに乗れれば、ぼちぼち帰れるだろうから少し日が高くなってからYHを出るのだ、今はまだ寒くて動く気がしない。玄関前のソファーに座って出掛ける人をボーと見てると、目が合ったりするので「いってらっしゃい、良い旅を!」と声をかけたりする。そんなんで時間を費していると2人とも荷物をバイクに運び出したので、ソファーから重い腰を上げて荷造りを始める事にした。この時は、昨日の大雪の事はすっかり忘れており、これから始まる試練の事など誰も予想できなかった。YHを出発してやまなみハイウェイに出ると別府方面にバイクを向けて牧ノ戸峠を駆け上がっていく。道路脇には昨日積もった雪の残骸が残ったおり、それが先に進むにつれて量が増え走りにくくする。それでも雪を避けたり徐行したりで進んで行くと車が渋滞し始めた。道路脇でチェーンを装着する車を避けるため、片側交互通行みたいな感じになっているのだ。これから先は残雪が固まりアイスバーン化していていてバイクでは難しい状況となっている。パオさんのハタカブと俺のセローなら足ついたり押したりで何とか進めるかもしれぬがオンバイクの画伯CBRでは難しいと考え、やむなく引き返す事にした。
原尻の滝の画像がなかった。
麓まで降りて帰り道を探す!といっても山を越えるルートは積雪の可能性があり、海に出るしか無いと思われる。竹田から臼杵に抜けてフェリーに乗ることにして、時間的な余裕があれば佐賀関〜三崎航路も考えるという事となった。竹田に出て、そろそろ何処かで一息入れようと思っていると近くに道の駅「原尻の滝」があるので寄ってみる事になる。東洋のナイアガラだったか日本のナイアガラだったか記憶が定かでないが原尻の滝はそれなりにデカくて滝の上から覗くと・・・誰かが背中を押した。お約束だが油断もスキも無い。少し早いが昼を食ってしまおうと道の駅の食堂に入り、3人とも温いものがあ〜と、だご汁を頼むのだ。飯食った後、土産屋でご当地ステッカー・変な掘出物・貰って困るお土産が無いかと3人それぞれの思惑で店内を徘徊していたが、今日は時間的にも余裕が無い事を思い出して再び走り出す。竹田から臼杵に抜けてフェリー港に行くため信号待ちをしてると、揺れている?「近くをダンプでも通ってるのか?」と思いきや、そんな大物はおらず街灯と電線まで揺れているのだ。どうやら地震らしく、結構デカイし長いし「地震だよ!」と横に停まってるパオさんに話掛けると「えっ何のジシン?」と会話が成立してない事を悟り、後で説明しようと思ってると地震はおさまり信号が変わったので右折して行った。フェリー港に着くとさっきの地震の事を話題にすると画伯は「やっぱりそうだったの!」パオ氏は「全然気づかんかった。」彼は大物らしい。フェリー港のテレビでニュース速報をしていて、さっきの地震が結構デカかったらしい事と津波の心配は無いと報じている。フェリーの時間を確認して、ココでフェリー乗船を待っていた方が良いだろうと決断した。パオ氏はコレから別府温泉を目指す。今日のお宿は別府YHという事「今日から俺もベッパーだ」後から考えると「ベッパーって?」推定だが、別府YHの常連になる事か或るいは別府YHに泊まる事を指しているに違いない。パオさんがベッパー目指して?去っていった。コレから船で八幡浜、八幡浜からバイクで松山、更に船で柳井・・・まだまだ先は非常に長い、とりあえず船中では体を休める事にする。広島着は24時をゆうに過ぎている事だろう。
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